すみれの花咲く頃:Wenn der weiße Flieder wieder blüht


Zarah Leander “Wenn der weisse Flieder wieder Blüht”
上の動画のZarah Leander (1907–1981)はスウェーデンの有名な女優・歌手ですが、ナチス・ドイツ時代に宣伝のため、ベルリンでナチスに協力させられた人でもあります。

Wenn der weiße Flieder wieder blüht ドイツ語詞

Wenn der weisse Flieder wieder blüht,
sing ich dir mein schönstes Liebeslied.
Immer, immer wieder, knie ich vor dir nieder,
bringe dir den Duft von weissen Flieder.
Wenn der weisse Flieder wieder blüht,
küss ich deine roten Lippen müd’.
Wie im Land der Märchen,
werden wir ein Pärchen,
wenn der weisse Flieder wieder blüht.

Wenn der weisse Flieder wieder blüht,
sing ich dir mein schönstes Liebeslied.
Immer, immer wieder, knie ich vor dir nieder,
bringe dir den Duft von weissen Flieder.
Wenn der weisse Flieder wieder blüht,
küss ich deine roten Lippen müd’.
Wie im Land der Märchen,
werden wir ein Pärchen,
wenn der weisse Flieder wieder blüht.

Wenn der weisse Flieder wieder blüht,
küss ich deine roten Lippen müd’.
Wie im Land der Märchen,
werden wir ein Pärchen,
wenn der weisse Flieder wieder blüht.
Wenn der weisse Flieder wieder blüht.

直訳詞

白いライラックの花が再び咲くとき、
私は私の最も美しい愛の歌を歌う。
何度も何度も、私はあなたの前に跪いて、
私はあなたに白いライラックの香りを捧げる。
白いライラックの花が再び咲くとき、
私はあなたの赤い唇に飽きるほどキスをする。
おとぎ話の国の、
私たち二人は恋人同士なのさ。
白いライラックの花が再び咲くとき。

白いライラックの花が再び咲くとき、
私は私の最も美しい愛の歌を歌う。
何度も何度も、私はあなたの前に跪いて、
私はあなたに白いライラックの香りを捧げる。
白いライラックの花が再び咲くとき、
私はあなたの赤い唇に飽きるほどキスをする。
おとぎ話の国の、
私たち二人は恋人同士なのさ。
白いライラックの花が再び咲くとき。

白いライラックの花が再び咲くとき、
私はあなたの赤い唇に飽きるほどキスをする。
おとぎ話の国の、
私たち二人は恋人同士なのさ。
白いライラックの花が再び咲くとき。
白いライラックの花が再び咲くとき。


Dajos Béla: Wenn der weiße Flieder wieder blüht, 1928
上の動画は、この歌が作られた1928年にダンスバンドのリーダーであったDajos Béla(1897-1978)が録音したものです。戦前のドイツのナイトクラブキャバレー、カフェ、バー、レビューの爛熟したナイトライフの雰囲気が伝わります。当時のベルリンの繁華街は売春婦、男娼、同性愛者、女装の男性、男装の女性が集まる、退廃的という言葉通りの所でした。男装の女性のイメージというとマレーネ・デートリッヒを思い出しますが、こうした大衆文化の一端が、この歌と同じように日本に伝わり、少女歌劇や日劇、宝塚のスタイルにも影響を与えたと思います。Dajos Bélaはロシア帝国 (現 ウクライナ )キエフ出身のユダヤ人で、ベルリンで活躍していましたが、1935年にアルゼンチンに公演旅行して、帰る国を失い、そのままこの地に留まり、アルゼンチンで亡くなりました。


Patachou – Les Lilas Blancs
フランスの有名なションソン歌手パタシュー(Patachou:1918-)の、これは後年の録音のションソンです。


Helmut Zacharias – When The White Lilacs Bloom Again (1956)_Remasterized
ドイツのバイオリン奏者、ヘルムート・ツァハリス(Helmut Zacharias:1920-2002)の演奏です。ヘルムート・ツァハリスはバイオリンが体の一部のような人で、これはもう名人芸の世界です。

「リラの花咲く頃」(Wenn der weisse Flieder wieder bluht:1928)、ドイツ語を直訳すれば、「白いライラックの花が再び咲くとき」は、オーストリアのフランツ・デーレ(Franz Doelle)作曲したものです。ドイツでヒットした直後には、フランスでシャンソン「白いリラが咲く頃」(Quand refleuriront les lilas blancs)となりました。(リラはフランス語由来の言葉で、ライラックとは同じ花です。)当時パリに留学していた宝塚歌劇団の演出家となった白井鉄造(1900-1983)が帰国後の1930年に宝塚歌劇「パリゼット」(Paris Sette)を演出した際に「すみれの花咲く頃」の訳­詩を付けて主題歌としました。国によってイメージする花が変っています。開花時期は同じ春先で、ドイツ、フランスではライラック・リラが「春」や「若さ」、「純潔」をイメージするのと同じに、日本では日本列島に広く見られるスミレに変えたのは白井鉄造の独創性の現れです。歌詞の内容も、1930年の日本では、とてもドイツ語の歌詞をそのまま訳しては検閲を通すことはできず、また、宝塚歌劇団のイメージとも合わないので、純愛と憧れのイメージの歌詞になったのだと思います。また、新学年や卒業後の就職が春である日本では、新しい出会いがあります。そんな雰囲気を白井鉄造の訳詞が持っていることも日本人の好みに合っているのだと思います。

同名の1953年のドイツ映画はこの歌を主題歌にしたものです。この映画には、これも個人的に好きな女優、ロミー・シュナイダー(Romy Schneider:1938-1982)が母親マグダ・シュナイダー(Magda Schneider)と共に出演したデビュー作です。ロミー・シュナイダーを知らない人は…、そのうち記事に書きます。「Wenn der weiße Flieder wieder blüht」の映画は、ドイツでは繰り返し放映されている人気作品です。
「Les Lilas Blancs」のシャンソンは、今はあまり歌う人もありませんが、ドイツでは映画と共に、日本では宝塚歌劇と共に、今もこの曲は広く愛されています。

そして、日本では宝塚の歌ですね。

轟悠 – すみれの花咲く頃

  春すみれ 咲き 春を告げる
  春何ゆえ人は 汝(ナレ)を待つ
  楽しく悩ましき 春の夢 甘き恋
  人の心 酔わす そは汝 すみれ咲く春
    すみれの 花咲く頃
    始めて 君を知りぬ
    君を思い 日毎夜毎
    悩みし あの日の頃
    すみれの 花咲く頃
    今も 心震う
    忘れな君 我らの恋
    すみれの花 咲く頃

  花の匂い 咲き 人の心
  甘く香り 小鳥の歌に
  心踊り 君とともに 恋を歌う春
  されど恋 そはしぼむ花 春とともに 逝く
    すみれの 花咲く頃
    始めて 君を知りぬ
    君を思い 日毎夜毎
    悩みし あの日の頃
    すみれの 花咲く頃
    今も 心震う
    忘れな君 我らの恋
    すみれの花 咲く頃

この記事は「春」を待つ人にための記事です。
日本語の「冬」は「増ゆ」という意味で、何も無いのではなくて、雪や凍った土の中で生命が耐えて増えていることからきているということを何かで読んだことがあります。同じように「春」は「張る」という意味で、冬の間に成長した生命が張るように満ちて大地に出てくることだそうです。

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