リュシエンヌ・ボワイエ(Lucienne Boyer) – Parlez-Moi D’Amour [1930]

ジュリエット・グレコ(Juliette Greco) – Parlez-moi d`Amour 【1967年のドイツのTV出演】

Nana Mouskouri – Parlez moi d’amour

聞かせてよ愛の言葉を : Parlez-moi d’amour

リュシエンヌ・ボワイエ(Lucienne Boyer:1901-1983)は、フランスの歌手。藤田 嗣治(レオナール藤田)の絵のモデルとしても有名です。1930年のジャン・ルノワール作詞作曲のオリジナル「聞かせてよ愛の言葉を」(Parlez-moi d’amour)や1945年の「私の心はバイオリン」(Mon Coeur Est Un Violon)が代表曲です。パリのキャバレーや小劇場を経て、ブロードウェイにも出演し、1928年にフランスで初めてのレコードをリリースしたのは彼女でした。
ここで紹介するリュシエンヌ・ボワイエの囀る小鳥のように親しみやすい歌声と美しいメロディの「聞かせてよ愛の言葉を」はシャンソンの古典です。この歌が作られたのは1928年ですが、それより20年ほど前の時代、ベル・エポックのパリの優雅さと素朴さがまだあった頃、その後の第二次世界大戦で時代の荒波に押し流されてしまった「人びとの幸せな時」が感じ取れます。また同時に過ぎ去った時代への一種の郷愁、哀感が漂っているように思います。歴史の教科書を読んだだけでは判らない、当時の人びとが持っていた想いや感性、情感を古いシャンソンを聞くことで見つけられるのではないでしょうか?

「聞かせてよ愛の言葉を」(Parlez-moi d’amour)(英語ではJoy Of Love=愛の喜び)は、越路吹雪さんや宝塚歌劇でも有名です。歌の内容は、「わたしに愛してると言って・・・」という、甘い部分に少し苦味を入れたビターチョコレートのような風味?です(フランス語歌詞と訳詩は下に掲載してあります)。歌われているのは、情熱的な二人の愛の日常に少し影を落とすかのような、恋人に対する不安や不信の気持ちを、愛の言葉によって拭い去りたい女心です。リュシエンヌ・ボワイエは敢えて、囁くように歌い、過度な感情表現を避けるかのようにして、この歌の切なさを引き立てています。

「聞かせてよ愛の言葉を」の歌に、は、一片の短編小説を読むような、ドラマ性がありますが、本家フランスでは、ジュリエット・グレコ(Juliette Greco:1927-)です。
ジュリエット・グレコは、この歌「聞かせてよ愛の言葉を」を1964年にリリースしました。既に当時のシャンソン界と実存主義のミューズであった彼女は、時代の流れの陰に埋もれてしつつあった古典的なシャンソンに、近代的な情感を湛えた歌唱で、新たな息吹を吹き込んだと言えます。「聞かせてよ愛の言葉を」もそんな彼女の持ち味がよく出ています。彼女の歌唱は、時代の流れに合わせて、この歌の「ビターチョコレート風味」を、リュシエンヌ・ボワイエよりも利かせていることが、よく分りますよね?
実は、はじめて買ったシャンソンのレコードはこの人のアルバムでした。意味も分らないのに、フランス語の美しい響きをはじめて知った気がしました。彼女の歌う「パリの空の下」「詩人の魂」「枯葉 」「ラ・メール」「パリの空の下」「アコーデオン」・・・どれも心に残る名唱です。ベスト盤もあるので、是非他の歌も聴いてみてください。

聞かせてよ愛の言葉を:Parlez-moi d’amour(歌詞)

Parlez-moi d’amour
Redites-moi des choses tendres
Votre beau discours
Mon cœur n’est pas las de l’entendre
Pourvu que toujours
Vous répétiez ces mots suprêmes
Je vous aime
Vous savez bien
Que dans le fond je n’en crois rien
Mais cependant je veux encore
Écouter ce mot que j’adore
Votre voix aux sons caressants
Qui le murmure en frémissant
Me berce de sa belle histoire
Et malgré moi je veux y croire
(Refrain)
Il est si doux
Mon cher trésor, d’être un peu fou
La vie est parfois trop amère
Si l’ on ne croit pas aux chimères
Le chagrin est vite apaisé
Et se console d’un baiser
Du cœur on guérit la blessure
Par un serment qui le rassure
(Refrain)

聞かせてよ、愛の言葉を(和訳:「聞かせてよ愛の言葉を」の題名を尊重して、少し意訳です。)

聞かせてよ、愛の言葉を
あなたの優しいささやきで
わたしの心をときめかすその言葉を
何度でも
その言葉を繰り返して
愛してるって

分っているのね
わたしがあまり信じてないのを
それでもまだ聞きたいの
わたしの大好きな言葉を
あなたの声の震えるようなささやきで

わたしは美しいお話にときめくけれど
わたしはわたしを信じていたいの

聞かせてよ、愛の言葉を
あなたの優しいささやきで
わたしの心をときめかすその言葉を
何度でも
その言葉を繰り返して
愛してるって

甘いささやきが、わたしの心をときめかすの
ときには人生はつらいもの
想い惑うことがなければ、痛みは癒されるのに
そして、口づけをするの
心の傷を癒すのは、
心を込めた誓いの愛の言葉なの

聞かせてよ、愛の言葉を
あなたの優しいささやきで
わたしの心をときめかすその言葉を
何度でも
その言葉を繰り返して
愛してるって

藤田嗣治がリュシエンヌ・ボワイエをモデルにしたと思える絵のひとつ、このブログでも書いている「カフェにて」です。
藤田嗣治「カフェにて」 この壁紙はこちらからどうぞ

リュシエンヌ・ボワイエWikipediaフランス語
ジュリエット・グレコWikipedia

0 thoughts on “聞かせてよ愛の言葉を:Parlez-moi d’amour リュシエンヌ・ボワイエとジュリエット・グレコ”

  1. miyoさん

    コメントありがとうございます。

    昔はカフェやジタンの甘く苦味のあるニオイがパリの街角にただよい、今よりももっと独特の都市の個性がありました。
    ウッディ・アレンもそんなベル・エポックのパリに憧れていたひとりだと思います。「ミッドナイト イン パリ」、ストーリーも良いですが、サウンドトラックが素敵な映画ですね。私好みのものばかりです。miyoさんも映画を観て、この曲のファンになられて、仲間が増えたようで、とても嬉しい気持ちになりました。
    リュシエンヌ・ボワイエとジュリエット・グレコ、良い歌がたくさんありますので、聴いてみてください。

  2. はじめまして

    映画「ミッドナイト イン パリ」でこの曲を知りました。
    そして検索していたら、ここへたどり着きました。
    涙が出そうなくらい美しい曲ですね。歌詞もフランスらいし。
    気持ちが穏やかになる一曲です。「癒し系」とひとまとめにするにはもったい曲だと思います。
    これはポエム、愛の詩(うた)ですよね。

    失礼しました~~。

  3. kazuo さん

    コメントありがとうございます。
    「聞かせてよ愛の言葉を」は私の大好きなションソンです。この歌を愛してくださる方が増えて、とても嬉しく思っています。
    最近になって漸く、消費されるだけの曲が飽きられて、本来の音楽の魅力が再認識されだしたのかもしれませんね。
    本当の良い歌曲は時代を超えて、人に安らぎを与えてくれると思います。このブログでそんな歌の魅力をお知らせできればと思っています。

  4. こんばんわ、団塊の世代のものです。
     時々テレビ等で流れる曲でシャンソンであることはわかっていましたが、題名がわかりませんでした。やっとたどり着いたところです。
     ソフトでやさしく、何回聞いてもあきません。
     時代のよい気を感じます。
     由紀さおりの曲もヒットしています。パワーがあるものから、安らぎのあるものに変わってき始めてるのかもしれません。

kazuo にコメントする コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です