Paul Whiteman – Paper Moon

Cliff Edwards – It’s Only A Paper Moon

アビー・ガードナー(Abbie Gardner)It’s – Only A Paper Moon

It’s Only A Paper Moonイッツ・オンリー・ア・ペーパームーン

「ペーパームーン」は、直訳すれば「紙のお月様」のことですが、実際には、もう少し丈夫な、板などで作られていたようです。1900年代初頭のアメリカで家族や恋人などとの、記念写真の背景として、人気がありました。(当時ほどではなくても、今もあるようです。)この起源を考えてみると、当時流行していたアール・ヌーヴォー・アール・デコの円形のフレーム装飾と、ヨーロッパからもたらされた、月の女神(セレネ・ルナ・ダイアナ・アルテミスなど)が月を背景にしている、あるいは、三日月の腰かけているイメージから考案し、その後に三日月に横顔が描かれるようになったようです。また、直接的には、映画草創期に数多くのファンタジー映画を製作したジュージュ・メリエス(ジョルジュ・メリエス・発音ではジュージュが正しい)の代表作「月世界旅行」(1902年)のシーンで、三日月に乗った月の女神と顔のある月のイメージが合成されたものです。もちろんメリエスも月の女神のイメージを、既存の絵画などから得ていますが、この映画の興行的な成功が、多くのアメリカ人に月に腰かけるとういう夢をもたらしたと言えます。
「ペーパームーン」を背景に記念写真を撮るという行為は、人生の幸福な時を記録する意味がありました。個人がカメラを所有することが、一般的でなかった時代です。1900年代初頭の好況から大不況と大きな時代の変動に翻弄された中で、ささやかな家族・個人の「楽しい思い出」という記憶が、アメリカ人の郷愁として残り、「ペーパームーン」がそのシンボルとなりました。
どこかで、「ペーパームーン」には、「信じていれば、願い事が本当のことになる。」という意味がある、というようなことを読んだことがありますが、どのような出典によるものか、その根拠となるものを知りません。どうも、この歌の解釈や「星に願いを」の歌や、月の女神(=愛の女神)への願いなどが混同されて、誰かが言い出したものが、流布したようです。または、この歌の「it wouldn’t be make-believe、If you believed in me」を「信じていれば、本物になる」とした訳詩からのようです。でも、wouldn’t(would not)は、 「どうしても~しなかった」という拒絶の意味ですから、wouldn’t be seen dead(死んでもいや)と同じで、「信じることはできない。」ですよね。「信じていれば、本物になる」とでは、大違いです。
「イッツ・オンリー・ア・ペーパームーン」(It’s Only A Paper Moon:1933、作曲Harold Arlenと作詞Billy Rose とE. Y. Harburg)は、その「ペーパームーン」人気を元にして作られた歌です。1933年の映画【テイク・ア・チャンス】、1973年のライアン・オニール、テイタム・オニール親子共演の映画【ペーパー・ムーン】(ネットで映画鑑賞のページでYouTube動画がみれます)の主題歌で使われています。ポールホワイトマン楽団の演奏、クリフ・エドワーズのウクレレ伴奏、ベニーグッドマン、エラ・フィッツジェラルドやナット・キングコールのヒットの他、たくさんの歌手がカバーしています。今回の動画は、ポールホワイトマン楽団、クリフ・エドワーズとアメリカン・ルーツ音楽の注目株、アビー・ガードナーです。

歌の意味は、歌詞を読んでいただくと分りますが、「あなたが私を信じてくれるなら、ただの紙のお月様だなんて思えない。」と愛があれば、何でも本当のことのように思えるというものです。深読みすれば、「ただの紙のお月様」(安っぽい)でも、そんなこと関係ない、金持ちのように豪華にすることも必要ないという庶民感情が伝わってきます。明るい曲調で、そんな元気さが、この歌にはあります。
いやなことがあったら、この歌を聴いてみてください。だって、「たかがペーパームーン」でも、たくさんの人たちの夢や愛を乗せていたのですから。

“It’s Only A Paper Moon” lyrics(歌詞)

I never feel a thing is real
When I’m away from you
Out of your embrace
The world’s a temporary parking place

Mmm, mm, mm, mm
A bubble for a minute
Mmm, mm, mm, mm
You smile, the bubble has a rainbow in it

Say, its only a paper moon
Sailing over a cardboard sea
But it wouldn’t be make-believe
If you believed in me

Yes, it’s only a canvas sky
Hanging over a muslin tree
But it wouldn’t be make-believe
If you believed in me

Without your love
It’s a honky-tonk parade
Without your love
It’s a melody played in a penny arcade

It’s a Barnum and Bailey world
Just as phony as it can be
But it wouldn’t be make-believe
If you believed in me

It’s Only A Paper Moonイッツ・オンリー・ア・ペーパームーン(訳詩)

本当のことだとは思えないわ
あなたから離れているときは
抱きしめてもらってないと
まるで世界は臨時駐車場みたい

Mmm, mm, mm, mm
つかの間のシャボン玉
Mmm, mm, mm, mm
あなたは笑顔、シャボン玉の中の虹

そうよ、ただの紙のお月様
厚紙の海を帆走してゆく
でも、見せかけのものにはならないわ
あなたが私を信じてくれているなら

そうよ、ただのキャンバスの空
モスリンの木が垂れ掛かっている
でも、見せかけのものにはならないわ
あなたが私を信じてくれているなら

あなたの愛がなければ
こんなのは、から騒ぎのパレードだわ
あなたの愛がなければ
こんなのは、ペニーアーケードで演奏されるメロディよ

これは、バーナムとベイリーの世界
偽物だってできるのよ
でも、見せかけのものにはならないわ
あなたが私を信じてくれているなら

(注)モスリンは、メリンス,唐縮緬(からちりめん)とも言いますが、平織の薄地の梳毛(そもう)織物のこと。
(注)バーナムとベイリーはあめりかの有名なサーカス「Barnum & Bailey Circus」(その後、リングリングブラザーズと合併して、Ringling Bros. and Barnum & Bailey Circusは、サーカス列車でアメリカ国内を巡回興行している、現在、アメリカ最大のサーカスです。)のこと。

It’s Only a Paper Moon:Wikipedia
アビー・ガードナー(Abbie Gardner)オフィシャルサイト

5 thoughts on “イッツ・オンリー・ア・ペーパームーンIt’s Only A Paper Moon”

  1. Pingback: うらがみ
  2. ミヤオクニオキ さん

    コメントありがとうございます。
    記事がご参考になれて幸せです。また見に来てくださいね。

  3. ありがとう!40年前からの、疑問が、
    やっと解消しました。
    ジャズのそして映画の、
    とても有名な作品なのに、その由来がわからないままま、気になっていたのです!!!

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