SUNRISE SUNSET

Chava Sequence-Fiddler on the Roof 1971 Film

「屋根の上のバイオリン弾き」は、1964年にブロードウェイで初演されたミュージカルで、1971年に映画化されました。
原作はショーレム・アレイヘム(1859年3月2日-1916年5月13日)の小説で、ショーレム・アレイヘムは、帝政ロシアのPereyaslav (現在に ウクライナ)出身で、ロシア革命前にアメリカに渡ったユダヤ系移民ですから、自らと父親の世代のロシアに暮らすユダヤ人の社会を描いたものです。(但し彼の父親は、裕福な商人でしたが、事業に失敗した人で、牛乳売りではありません。)当時のユダヤ人の人生観、家族愛、友情、恋愛と結婚感、信仰、しきたり・伝統(Traditions!)を重んじる精神、そして静かではあるが、その力強く、誇り高い生き方を描いたこの小説は、ミュージカル化されると大きな反響を呼んで、今日まで再三リバイバルされる作品となりました。特にアメリカでは、60年代から始まる自由主義の影響から、伝統的な生き方が崩壊しつつあったことから、保守的な人々から支持されました。保守的といっても悪い意味ではありません。日本や韓国でも、ユダヤの人たちと同じような文化がありました。代表的なのは家長制度ですが、先祖が長い年月をかけて築いた、よりよい生き方の手本、処世の知恵によって、無秩序がもたらす家族崩壊から守ろうとするものです。家長は権限を持つ代わりに、放棄できない家族に対する責任を持たなければなりません。よく法律は個人を守るためにあると言いますが、実は違います。多くの法律は個人を守るのではなく、その権利を侵害するものを排除するためにあります。ですから、長い人の一生において、家族を導き、よい生き方を得るためは、その指針となる「しきたり」・「伝統」が必要だったのです。しかし、日本や韓国でもアメリカと同じ道を歩み、しきたり・伝統を忘れつつあります。
60年代から70年代のアメリカは、新しい生き方を摸索した時代でしたが、その結果は、個人主義と大量消費が楽しい人生であると思われるようになりました。そして、物を得るために働く社会や、薄れつつある家族間のつながりに、人々はどこか空虚な心を感じるようになりました。この映画でも、家長のテヴィエは、しきたり・伝統をけして捨てません。「If I Were a Rich Man」の歌も、お金持ちであったとしても、物が欲しいということではなく、ささやかな家族の幸せと自分の信仰に費やす時間が得られるという、本当の意味での「豊かさ・Rich」を歌っています。そこにもよい生き方のヒントがあります。ですから、この物語は今でもハイスクールなどで生徒によって上演されているのです。

もちろん、ミュージカルがヒットしたのは、テーマによるものだけではありません。ジョゼフ・スタイン (Joseph Stein) の脚本は、ユーモアがあり、作曲のジェリー・ボック (Jerry Bock)と 作詞のシェルダン・ハーニック (Sheldon Harnick)による素晴らしい楽曲があったからです。その中でも、 長女のツァイテルと仕立屋のモーテルとの結婚式で歌われる「サンライズサンセット」(SUNRISE SUNSET)は本当に傑作です。父親テヴィエと母親ゴールデの、娘を嫁がせる親の寂しい心情と、姉の結婚式を見守る若いふたり、次女ホデルと恋人パーチックの結婚への憧れと希望が対比しています。それが「日は昇り、日は沈み(SUNRISE SUNSET)」の、年月と共に世代が移り変わってゆくことの喜びと悲しみをより深く聴く者に伝えています。

「屋根の上のバイオリン弾き」は、ミュージカルも傑作ですが、映画も傑作でした。監督ノーマン・ジュイソンは、1967年の夜の大捜査線(In the Heat of the Night)に続いて、この映画を監督し、名声を不動のものにしました。また、主演のトポルは、この映画の翌年1972年の「フォロー・ミー」(Follow Me!)へも出演しました。イスラエル人の彼としては、テヴィエの役は、まさに適役でした。テヴィエを演じた俳優は、日本にも森繁久弥さんなどもいますが、私はトポルの演じた愛すべきキャラクターが一番好きです。(個人的意見です。)

サンライズサンセット(SUNRISE SUNSET)歌詞

(Tevye)
Is this the little girl I carried?
Is this the little boy at play?

(Golde)
I don’t remember growing older
When did they?

(Tevye)
When did she get to be a beauty?
When did he grow to be so tall?

(Golde)
Wasn’t it yesterday
When they were small?

(Men)
Sunrise, sunset
Sunrise, sunset
Swiftly flow the days
Seedlings turn overnight to sunflowers
Blossoming even as we gaze

(Women)
Sunrise, sunset
Sunrise, sunset
Swiftly fly the years
One season following another
Laden with happiness and tears

(Tevye)
What words of wisdom can I give them?
How can I help to ease their way?

(Golde)
Now they must learn from one another
Day by day

(Perchik)
They look so natural together

(Hodel)
Just like two newlyweds should be

(Perchik & Hodel)
Is there a canopy in store for me?

(All)
Sunrise, sunset
Sunrise, sunset
Swiftly fly the years
One season following another
Laden with happiness and tears

サンライズサンセット(SUNRISE SUNSET)訳詩

(テヴィエ)
これが私が抱っこしてた小さな娘?
これが遊び回っていた小さな少年?

(ゴールデ)
大きくなったのを覚えてないわ
いつだったのかしら?

(テヴィエ)
いつ彼女は美しくなったんだろう?
いつ彼はこんなに背が高くなったんだろう?

(ゴールデ)
ふたりが小さかったのは
昨日のようでしょ?

(男性コーラス)
日は昇り、日は沈み
日は昇り、日は沈み
慌しく日々が流れ去る
蒔いた種が、一晩でヒマワリに変り
私たちが見ているように咲き誇っている

(女性コーラス)
日は昇り、日は沈み
日は昇り、日は沈み
慌しく年々が流れ去る
季節は移り変わる
喜びと涙を湛えてながら

(テヴィエ)
私はふたりにどんな賢明な言葉を与えられるだろうか?
どうしたら健やかに暮らす手助けができるだろうか?

(ゴールデ)
今、ふたりはお互いから学びあうことが必要なの
日々を共にして

(パーチック)
ふたりはとても自然に寄り添っているわ

(ホデル)
本当に初々しいふたり

(パーチック&ホデル)
式の天蓋はわたし(ぼくの)のためにあるのだろうか?

(すべて)
日は昇り、日は沈み
日は昇り、日は沈み
慌しく年々が流れ去る
季節は移り変わる
喜びと涙を湛えてながら

マルク・シャガール
マルク・シャガールの絵にも「屋根の上のバイオリン弾き」が、多く描かれています。映画では、古くからのしきたり・伝統がなくなると、「屋根の上のバイオリン弾き」のように、生活は不安定になると言っています。また、「屋根の上のバイオリン弾き」はユダヤ人の迫害や不遇に負けない不屈の精神の象徴だということですが、出典を調べたわけではないので、よく分りません。映画でも象徴的に出てきます。上のサンライズサンセットの動画でも登場しました。分りました?

屋根の上のバイオリン弾きWikipedia

7 thoughts on “サンライズサンセット「屋根の上のバイオリン弾き」:SUNRISE SUNSET-Fiddler On The Roof”

  1. 幼稚園児の時、親に連れられて、森繁久弥の初演を見に行きました。途中で出てくるお化けしか覚えていませんが(笑)。後に、何度か見に行きました。
    いまでも、このミュージカルは好きですし、サンライズ・サンセットは好きです。
    邦訳の「陽は上りまだ沈む」ですが、
    日本のミュージカルの最初の男性コーラスは「陽は沈み、また昇り、朝が来る」と歌っています。
    本来の英語の歌詞とは違いますが、このミュージカルの最後にあるようなユダヤ民族の運命を思うと名訳だと思います。

  2. 中学生だった頃、初めて買ったレコードがSunrise Sunset でした。英語を習いたての当時、とても耳に馴染む英語の美しい歌でした。
    今いっそう、懐かしいと同時に子供達が巣立っていく立場になり、心に沁みる曲になりました。
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