I Girasoli (Sunflower:1970)

Henry Mancini ‎– Sunflower 1970
1 – Masha’s Theme – 2 – The Retreat – 3 – Two Girls

「ひまわり」(I Girasoli)は、「自転車泥棒」(1948)で有名なイタリアのビットリオ・デ・シーカ監督の1970年の映画です。主演はソフィア・ローレン(Sophia Loren、1934-)とマルチェロ・マストロヤンニ(Marcello Vincenzo Domenico Mastroianni、1924-1996)で、ビットリオ・デ・シーカの「昨日・今日・明日」(1963)や「あゝ結婚」(1964)などでも、コンビを組んでいます。「ひまわり」では、このイタリアが生んだ二人の名優に加えて、ロシアのリュドミラ・サヴェーリエワが清楚で控えめな女性を好演しています。
この映画でもソフィア・ローレンとマルチェロ・マストロヤンニのコンビは、「昨日・今日・明日」「あゝ結婚」のような、強い女性とダメ男のイメージを踏襲しています。イタリア人の女性崇拝は聖母マリア信仰とも関係があるのでしょうか。あるいは古代ローマの象徴である「カピトリーノの雌狼」からの伝統であるのか(…冗談です)、この図式を好むはイタリア人の国民性でもあるようです。この喜劇的な設定もこの映画では、逆に悲劇的な見事な効果を発揮しています。

マルチェロ・マストロヤンニの演じるアントニオは弱い人間ですが、時代の大きな波の中で翻弄させた人間が如何に無力になるかを象徴しています。それに対して、ソフィア・ローレンの演じるジョヴァンニは力強く能動的、リュドミラ・サヴェーリエワの演じるマーシャは忍耐強く冷静です。ただそれは表面的なものであって、本当はアントニオは過酷な運命に耐える力を持っており、強く見えるジョヴァンニとマーシャは悲しみに耐えられない内面的な弱さを持った女性であることが感じられます。この見事な心理描写がこの作品を感動的なものにしています。
この映画のソフィア・ローレンは地味なメイクと衣装で演技に徹しています。(それでも美人であることは隠せませんが)ほとんど全編に出ているソフィア・ローレンの見事な演技は、彼女の出演作品の中でも最良と言えるものです。

「ひまわり」のテーマは、戦争によって奪われる人々の平凡な人生の悲劇です。平凡という言葉は「ありきたり」「退屈な」「つまらない」などという意味にとられることが多いのですが、「普通で穏やかな状態」を言います。人の人生に「ありきたり」「退屈な」「つまらない」ということはありませんが、どんな人にとっても「普通で穏やかな状態」でいられることは難しいことです。戦争はこの平凡な人生を奪います。映画で観る一面のひまわりの風景は、その一輪一輪が風に揺られながら、太陽を向いて伸びようとしています。この風景が時代に翻弄される人たちを連想させて悲しみを覚えます。人の過去と現在、愛の理想と現実に揺れ動くこの映画の主人公たちも、実はこの広い平野に咲き誇るひまわりの一輪であることを思うと、より深い感銘深い映画です。ヘンリー・マンシーニの主題曲も映画にとてもよくマッチしています。

ビットリオ・デ・シーカ監督、ソフィア・ローレンとマルチェロ・マストロヤンニが創り上げた第一級のヒューマン・ドラマでした。

ひまわり (映画)Wikipedia
ソフィア・ローレンWikipedia
マルチェロ・マストロヤンニWikipedia

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