The Kid 1921

チャーリー・チャップリン((Charles Spencer Chaplin, Jr.:1889-1977)の「キッド」(The Kid)は、チャップリンが製作、脚本、監督、主演したサイレント映画のヒューマニティー溢れる傑作です。個人的にはこの映画がチャップリン映画の最高傑作だと思います。
サイレント映画は音声が無いため、ストーリーの大部分を映像のみで語らなくてはなりませんが、その分、ストーリー・テリングや映像に高いクオリティが求められます。観客を飽きさせないためには、派手なアクションや美男美女のラブシーン、怪奇的なシーンなどが効果的です。サイレント映画にこうした傾向のものが多いのはこのためです。逆に言えば、日常的な物語はサイレント映画には不向きです。更に高いクオリティが必要となるため、より難しい映画制作になります。しかし、それを行ったのがチャップリンの映画です。言葉を介さずに分かり合える映画だからこそ、世界中の人々が彼の映画を理解し、愛しています。その完成度の高さに及ぶものがないことからも、チャップリンの映画人としての偉大さが分ると思います。
「キッド」は、チャップリンが31歳の時の、トレードマークの「小さな放浪者」(The Little Tramp)を主人公にした作品です。テーマは言うまでもなく「愛」ですが、物語の設定は非常にシリアスです。恋人に捨てられ生活に困って我が子を置き去りにする女性、その子を拾い、最低限の生活の中で子供を育てる職のない貧しい男。それでいて、この生活が悲惨でないのは、愛する者が傍にいるからです。そのささやかな幸せこそが、何にも増して守るべきことであるを、ユーモアとアクション、ファンタジーを織り込みながら物語を進めています。説教や教訓となることなく、あくまでも娯楽としての脚本と演出、そのバランスの良さに観客は映画の世界に引き込まれます。サイレント時代の名子役となったジャッキー・クーガン(Jackie Coogan)の愛すべき演技と、母親役の、チャップリン映画ではお馴染みのエドナ・パーヴァイアンス(Edna Purviance)の好演も印象的です。
チャップリンがこの映画で描いたのは、最も基本となる愛の形です。この愛を信じ、守るために、後にチャップリンは社会的なテーマやナチズム批判の映画を製作しました。その意味においても、この映画は彼の多くの作品の中で重要なものです。

味気ない世の中、寒さが増してくる秋の夜に、他人が幸せになることを喜ぶ涙と微笑み、この人間の最良な感情を描いたハートウォーミングな映画を観るならこの名作映画です。


チャーリー・チャップリンの壁紙
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キッド (1921年の映画):Wikipedia
チャールズ・チャップリン:Wikipedia
Charlie Chaplin:Wikipedia
The Kid (1921 film):Wikipedia
Jackie Coogan:Wikipedia
Edna Purviance:Wikipedia

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