アンネ・ゾフィー・フォン・オッター Anne Sofie von Otter – Der Erlkönig (Schubert / Berlioz), 2005

「魔王」(The Erlking/Der Erlkönig)はデンマークの伝説物語をゲーテ(Johann Wolfgang von Goethe:1749-1832)が物語詩にしたもので、The Erlking/Der Erlkönigは、ドイツの黒い森や北欧の深い森に住むElf(妖精)のking/könig(王)という意味です。
ゲーテの詩と彼のドイツ古典主義、ロマン主義に傾倒していたフランツ・シューベルト(Franz Peter Schubert:1797-1828)が1815年頃に曲を付けて発表しました。当時ゲーテは国民的な作家の地位にあり、シューベルトはまだ新進の音楽家でした。当初ゲーテはこの曲の劇的な要素があまり気に入らなかったのですが、シューベルトの死後には高く評価しました。ゲーテの「魔王」の詩は傑作ですが、それを更に偉大ならしめたシューベルトの才能に気付くのが遅かったと言えます。人は自分の社会的地位によって他人の才能を正しく評価することを誤るのかもしれません。
話が逸れましたが、「魔王」の曲はゲーテの詩の劇的要素、時間の経過と共に登場人物たちの感情の変化を変えることによって大胆に表現したものです。ピアノやオーケストラの伴奏は暗い森の不気味な情景と不安に高まる鼓動のようであり、父親と子供の部分の不安な感情の高まり、変化の表現はゲーテの詩の、音楽でなくては表現できない要素による見事な解釈です。

ゲーテのドイツ語詩

Wer reitet so spät durch Nacht und Wind?
Es ist der Vater mit seinem Kind;
er hat den Knaben wohl in dem Arm,
er faßt ihn sicher, er hält ihn warm.

Mein Sohn, was birgst du so bang dein Gesicht?
Siehst, Vater, du den Erlkönig nicht?
den Erlenkönig mit Kron und Schweif?
Mein Sohn, es ist ein Nebelstreif.

“Du liebes Kind, komm, geh mit mir!
gar schöne Spiele spiel ich mit dir;
manch bunte Blumen sind an dem Strand,
meine Mutter hat manch gülden Gewand.”

Mein Vater, mein Vater, und hörest du nicht,
was Erlenkönig mir leise verspricht?

Sei ruhig, bleibe ruhig, mein Kind;
in dürren Blättern säuselt der Wind.

“Willst, feiner Knabe, du mit mir gehn?
meine Töchter sollen dich warten schön;
meine Töchter führen den nächtlichen Reihn
und wiegen und tanzen und singen dich ein,
und wiegen und tanzen und singen dich ein.”

Mein Vater, mein Vater, und siehst du nicht dort
Erlkönigs Töchter am düstern Ort?

Mein Sohn, mein Sohn, ich seh es genau,
es scheinen die alten Weiden so grau.

“Ich liebe dich, mich reizt deine schöne Gestalt,
und bist du nicht willig, so brauch ich Gewalt.”

Mein Vater, mein Vater, jetzt faßt er mich an!
Erlkönig hat mir ein Leids getan!

Dem Vater grauset’s, er reitet geschwind,
er hält in Armen das ächzende Kind,
erreicht den Hof mit Müh und Not;
in seinen Armen das Kind war tot.

Franz Schubert: Erlkönig
Music by Franz Schubert. Poem by Johann Wolfgang von Goethe.
※意訳を読みながら動画を観ると分かりやすいですよ。

(意訳)

夜と風の中で馬を走らせるのは誰?
それは父親と彼の子供;
彼の腕の中に少年を抱えて
守りながら、暖め続けている。

私の息子よ、なぜ怖そうに顔を隠しているんだい?
お父さんは、魔王が見えないの?
冠とシュヴァイフ(襟章)を着けた魔王が?
私の息子よ、それは霧だよ。

“かわいい子だね、さあ私と一緒に行こう!
私が君と遊んであげよう;
たくさんの色とりどりの花が、岸に咲いているし
私の母は、たくさんの黄金の衣装を持っているよ。”

お父さん、お父さん、聞こえないの、
魔王が静かに私に約束しているのが?

静かにして、私の子供よ、落ち着きなさい。
あれは風にざわめく枯葉の音だよ。

“かわいい男の子だね、私と一緒に行きたくないかい?
私の娘たちが君に会いたがっているよ。
私の娘たちは、毎晩踊ってくれるよ
君のために踊り、歌う。
そうさ君のために踊り、歌うんだ。”

お父さん、お父さん、そこの暗い所に
魔王の娘たちが見えないの?

私の息子よ、息子よ、私には見えるよ
古い柳が、灰色に光っているのが。

“私は君を愛しているんだよ、君の愛らしさに魅せられたのさ、
君が望んでいないようなら、私は力を使うよ。”

お父さん、お父さん、彼に捕まったよ!
魔王がぼくを傷付けるよ!

父は身震いして、馬を速したてる、
彼の腕にうめき声の子供を抱きながら
四苦八苦で彼の中庭に着けば;
彼の腕の中で子供は死んでいた

ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ:Wikipedia
フランツ・シューベルト:Wikipedia魔王 (シューベルト):Wikipedia
Der Erlkönig:Wikipedia
ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ:Wikipedia
アンネ・ゾフィー・フォン・オッター:Wikipedia

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