Ennio Morricone – Nuovo Cinema Paradiso

「ニュー・シネマ・パラダイス」(Nuovo Cinema Paradiso/Cinema Paradiso)は、ジュゼッペ・トルナトーレ(Giuseppe Tornatore:1956-)監督による1989年のイタリア映画です。ジュゼッペ・トルナトーレは、この作品でアカデミー外国語映画賞、カンヌ国際映画祭審査員特別グランプリを受賞しました。

ジュゼッペ・トルナトーレはイタリア古典映画の復興活動にも力を入れている人です。ここで言うイタリア古典映画とは、サイレント映画からルキノ・ヴィスコンティやロベルト・ロッセリーニ、ヴィットリオ・デ・シーカ、フェデリコ・フェリーニ、ミケランジェロ・アントニオーニ…、初期、中期のリアリズム、ネオ・リアリズム映画などで、陰影に富む映像による群像劇、人間の悲喜劇を描写して人生や社会における啓示的なテーマを含むものです。そしてそれらの映画は、映画館の暗闇でスクリーンに映し出され、観客に未知の人生や考え方に対する共感を与えました。こうした傾向は世界各国にもあり、日本も同様でしたが、次第にアメリカ映画の娯楽作品を中心とする製作姿勢に同調することになりました。これはTVの出現による映画館離れによるもので、集客するためには止むを得なかったのですが、映画文化の一時的な衰退ともなりました。現在、アメリカ映画は成熟期にありますが、マンネリ化の傾向にもあります。反対に成熟した観客は、娯楽作品だけでない良質な作品を求めるようになりました。こうした状況で、古典映画の復興には大きな意義があります。「ニュー・シネマ・パラダイス」の題名も「新しい映画の喜び」という「映画復興」の意味が感じられます。それがジュゼッペ・トルナトーレが題名に込めた願いだとも思います。ですからこの映画の題名は「Nuovo」を省いたアメリカの題名「Cinema Paradiso」ではなく 「Nuovo Cinema Paradiso」でなくてはならないのです。

「ニュー・シネマ・パラダイス」は、主人公トトの映画に魅せられた少年時代からの半生の物語で、少年時代の思い出や、自分が愛した両親、恋人、自分を愛してくれた人々との再会を通しての「自分探し」アイデンティティの物語です。過去の名作映画が散りばめられた映画館の熱気ある喧騒シーンなどは、名作映画へのオマージュであり、映画館という場を共有し、映画を観て同じ体験をすることを見事に描写しています。この映画による共通体験の再生も「ニュー・シネマ・パラダイス」という題名の意味として含まれていると思います。

多くの人が映画と映画館に関する思い出を持っていると思います。それは映画館という空間そのものの空気感、映画を観るためだけに集まった人々の体験の共有があると思います。そうした思い出はどこの国の人にも共通するもので、家庭にあるTVでは得られないものです。「ニュー・シネマ・パラダイス」はそうした人たちの共感と賛同を勝ち取ったイタリア映画の傑作です。エンニオ・モリコーネとアンドレア・モリコーネによる音楽もこの映画の情感を描いて秀逸でした。


Nuovo Cinema Paradiso [Italiano] [SUB.ENG]


Cinema Paradiso “soundtrack final” “Tema finale” “final theme”

ニュー・シネマ・パラダイス:Wikipedia
ジュゼッペ・トルナトーレ:Wikipedia

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