Lilies Of The Field 予告編

「野のユリ」(1963年)は、サー・シドニー・ポワティエ KBE(Sir Sidney Poitier KBE:1927-)が黒人で始めてアカデミー賞主演男優賞(Academy Award for Best Actor)、ゴールデングローブ賞主演男優賞 (ドラマ部門)を受賞したアメリカ映画です。ハリウッドの映画会社が大作映画を次々と公開していた中で、低予算で作られたモノクロ映画ですが、ローマカトリックの作家ウィリアム・エドマンド・バレット(William Edmund Barrett:1900–1986)の1962年のセミ・ドキュメント小説を、「熱いトタン屋根の上の猫」(Cat on a Hot Tin Roof:1958)や「80日間世界一周」(Around the World in 80 Days:1956) のジェームズ・ポー(James Poe:1921-1980)が脚色したとても自然な、それでいて感動的な物語です。

東ドイツから亡命し、布教のためにメキシコ国境に近いアリゾナ州の村に教会を建てようとする修道女たちと、偶然に立ち寄った軍隊を除隊した流れ者の黒人青年ホーマー・スミス(シドニー・ポワチエ)が教会の建設のために尽力し、次第に周囲の村の人たちの善意を得てゆきます。アメリカ人とドイツ人、そして村のメキシコ人たち、人種や言葉の違いを超えた心の交流がハートウォーミングな感動を与えてくれます。
お金も何の道具もなく、質素な食事も神の恵みとして感謝し、強い信仰心のみで、財政的な援助も得られずに教会の建設を祈る明るく純真なマザー・マリアと4人の修道女たちに、たまたま立ち寄って、屋根を修理して少しのお金を稼ごうとした青年スミスは、修理のお金を貰えぬまま(修道女たちにはお金が無いのですが)、少しの同情と善意から教会建設を始めます。マザー・マリアはスミスを神の使いと信じ、彼との交流によって、神の恵みだけでなく人の善意の力を信じるようになります。また、スミスは目的を持たない気ままな流れ者から生きる目的を持つ喜びを見い出し、人間的に成長してゆきます。
宗教的な意味合いも強いストーリーですが、それ以上に人と人の心の交流を丹念に、そしてユーモラスに描いていることが、押し付けがましくなく、物語を爽やかなものにしています。

この映画でシドニー・ポワチエは良心的な若者が精神的に成長する姿を見事に演じました。シドニー・ポワチエは白人の理想とする黒人像を演じる俳優でした。それが白人への迎合とも受け取られましたが、遠い国の日本人から見れば、白人と対等な黒人であり、それはとても自然な印象でした。白人と同等であることを演じて成功した黒人俳優が仲間から不条理な批判を受けたとも感じました。「野のユリ」で彼に贈られたアカデミー賞主演男優賞はアメリカ映画が偏見の無い評価を示したものであり、彼に贈られた2001年アカデミー名誉賞は、過去の理由無き偏見・批判からアメリカ社会が開放された意味もあったと思います。

この映画で愛すべきキャラクラーのマザー・マリアを演じたリリア・スカラ(Lilia Skala:1896–1994)はアカデミー賞、ゴールデングローブ賞助演女優賞にノミネートされました。その後、彼女は「フラッシュ・ダンス」(Flashdance:1983)などの映画やTVドラマで活躍しました。


Sidney Poitier.. scenes from “Lilies Of The Field” Won Academy Award (Oscar) for this 1963 film.


Lilies of the Field Clip

野のユリ:Wikipedia
Lilies of the Field (1963 film):Wikipedia
シドニー・ポワチエ:Wikipedia
Sidney Poitier:Wikipedia

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です