ミラノ・スカラ/シャイー指揮/ロン
Gianni Schicchi 1983 (Eng sub)


Gianni Schicchi 歌劇「ジャンニ・スキッキ」2004

ジャコモ・プッチーニ(Giacomo Antonio Domenico Michele Secondo Maria Puccini:1858-1924)の三部作のひとつ「ジャンニ・スキッキ」(Gianni Schicchi)です。フィレンツェ市外に住むジャンニ・スキッキが彼の娘ラウレッタとその恋人リヌッチョのために、大富豪ブオーソ・ドナーティの遺産を狙う欲深い親戚たちに仕掛ける機知が楽しい人情喜劇の作品です。

ダンテの神曲に書かれているジャンニ・スキッキという人物について、後世に語られた物語を元にしています。ダンテが活躍したフィレンツェがこの物語の背景にありますので、その繁栄の美しさを歌い上げる「フィレンツェは花咲く木のように」や「私のお父さま」にはフィレンツェの名所の名前が散見されます。また、当時の北イタリアの時代的な背景として「ギベリン」という言葉がでてきますが、これは教皇派と皇帝派(ゲルフ/グエルフィ:Guelfi)とギベリン/ギベッリーニ:Ghibellini)の勢力争いのことです。これはウィリアム・シェークスピアの「ロミオとジュリエット」における当時のヴェローナ情勢として両家の深い対立の時代背景ともなっています。
もうひとつ、この物語でラウレッタとリヌッチョがどうしても5月1日に結婚したいと願っているのは、5月1日が中世フィレンツェではカレンディマッジョ(Calendimaggio:calende=ついたち、maggio=5月)という祭に由来しています。この祭は今でもアッシジ市で盛んですが、中世では今のパレードではなく身分やしきたりを超えて、華やかな衣装を身に付けた若者たちが頭を花輪で飾ってダンスを踊り、豊かな市民は豪華な食事を人々に振舞うという、市民みんなで春の訪れを祝う祭です。少年ダンテが富豪の娘ベアトリーチェを知ったのもこの祭で、歌劇「ジャンニ・スキッキ」ではここにもダンテに関するエピソードを含ませながら、たくさんの市民の祝福の中で結婚したいと願う恋に夢中な若いふたりの気持ちを表現しています。

ダンテの神曲では嘘をついた人間は天国へはいけません。さて、ジャンニ・スキッキが娘のために仕組んだ嘘は許されないものなのでしょうか?宗教的な束縛が多いキリスト教国でプッチーニが昔話の中世の喜劇としてこの歌劇を作ったのは、大げさな宗教批判ではなく、裕福な教会と贅沢な生活を送る僧侶たちへの皮肉を込めた「大衆の息抜き」という娯楽の提供、サービス精神であったと思います。ですからこの歌劇は美しい音楽を耳で楽しみ、セリフや演技に笑い、若い恋人たちのロマンスの成就を喜ぶことが正しい鑑賞方法です。

オペラを難しくて苦手と思う方は、日本語字幕版から見てください。ジャンニ・スキッキを演じたアレッサンドロ・コルベッリの楽しい名演もお薦めです。

Wikipediaには解説やあらすじなどが参照できますが、ネタばれになります。

ジャンニ・スキッキ:Wikipedia
ジャコモ・プッチーニ:Wikipedia
三部作 (プッチーニ):Wikipedia

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