オペレッタ「地獄のオルフェ」(=天国と地獄、Orpheé aux Enfers:1858)などで有名なジャック・オッフェンバック(Jacques Offenbach:1819-1880)の唯一の歌劇 「ホフマン物語」(Les Contes d’Hoffmann:1880,未完)の第1幕「オランピア」の場面、ローマの貧乏物理学者・発明家スパランツァーニが人形師コッペリウスに作らせた自動人形(ヨーロッパの機械式・自動人形:オートマタ:Automata )のオランピアが竪琴を奏でながらアリア「生け垣に小鳥たちが」を歌います。演出によっては竪琴を省いて、オランピアの動きのみにして人形らしさを引き立てています。ナタリー・デセイ(Natalie Dessay:1965-)の最初のオランピア役(ロマン・ポランスキーのプロデュース)からの変遷のステージはそれぞれ楽しめます。

1855年にオッフェンバックはブッフ・パリジャン劇場の支配人となり、1858年に「天国と地獄」(=地獄のオルフェ:Orpheé aux Enfers)を上演して以来、次々と自作のオペレッタを上演しました。より大衆好みの音楽喜劇オペレッタはカンカン踊りに代表される創案など、常に新しい趣向を提供することで庶民の人気を得ました。それは音楽家としての才能と劇場経営者としてのサービス精神が、良質のエンターテイメントとしての音楽劇を造りあげたとも言えますが、風刺や退廃的な快楽主義には批判的な意見も多くありました。

「ホフマン物語」はオッフェンバックがオペレッタ人気の下降を挽回するために挑んだ唯一のオペラ作品で、彼の死によって未完となりました。同じドイツ人、プロイセン王国出身のエルンスト・テオドール・アマデウス・ホフマン(Ernst Theodor Amadeus Hoffmann:1776-1822)と彼の生み出した幻想的な物語はオッフェンバックにとって創作の原点、少年期の思い出であったのだと思います。
「ホフマン物語」は詩人ホフマンを主人公にしたフィクションで、彼が追い求める女性を巡る物語と詩人としての霊感を得る物語です。未完になった作品であり、現在上演されているのは補筆補完されたもので、ホフマンが考えた完成した作品ではありません。各幕で歌われる鳥に因んだ歌(オランピア「生垣には小鳥たちが」、アントーニア「逃げてしまったの、雉鳥は」、ダペルトゥット「まわれ、まわれ、雲雀を捕らえる鏡の罠よ!」)なども何らかの関連する意図があったと思いますが、謎は謎のまま残りました。それでもこの作品が魅力的であるのは、ジグソー・パズルのピースから素晴らしい全体像を想像する楽しみに似ています。そしてそのパズルの一番好きなピースはやはりこのオランピアの場面なのです。

Natalie Dessay – Les Oiseaux dans la Charmille 1992
Roman Polanski’s production of “Les Contes d’Hoffmann”

Song Of Olympia – André Rieu With Carla Maffioletti in Maastricht
カルラ・マフィリオッティ(Carla Maffioletti)は1980年生まれのブラジルのディーバ。素晴らしい歌唱と楽しいパフォーマンスです。

Les oiseaux dans la charmille,
Dans les cieux l’astre du jour.
Tout parle a la jeune fille d’amour!
Ah! Voila la chanson gentille,
La chanson d’Olympia, d’Olimpia! Ah!

Tout ce qui chante et resonne,
El soupire tour a tour.
Emeut son coeur qui frissanne d’amour!
Ah! Voila la chanson mignonne,
La chanson d’Olympia!

(意訳)

あかしでには小鳥たち
お空の日差しその全て
乙女のために愛を語る
ああ! これが素敵な
オランピアの歌

囀り響く鳴き声の
甘い調べのその全て
乙女心に恋の火灯す
ああ! これが素敵な
オランピアの歌

歌劇 「ホフマン物語」 Tales of Hoffman:Jacques Offenbach: Les Contes d’Hoffmann

ジャック・オッフェンバック:Wikipedia
ホフマン物語:Wikipedia
E.T.A.ホフマン:Wikipedia
ナタリー・デセイ:Wikipedia

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