「勝利を我らに」ジョーン・バエズ:Joan Baez – We shall overcome
作詞作曲: Zilphia Holton、Frank Hamilton、Guy Carawan、Pete Seeger

We shall overcome
We shall overcome
We shall overcome someday
Oh deep in my heart
I do believe
We shall overcome someday

We shall hand in hand
We shall hand in hand
We shall hand in hand someday
(chorus)

We shall all be free
We shall all be free
We shall all be free someday
(chorus)

We are not afraid
We are not afraid
We are not afraid today
(chorus)

We are not alone
We are not alone
We are not alone today
(chorus)

The whole wide world around
The whole wide world around
The whole wide world around someday
(chorus)

We shall overcome
We shall overcome
We shall overcome someday
Oh deep in my heart
I do believe
We shall overcome someday

(意訳)

私たちは乗り越えなければならない
私たちは乗り越えなければならない
私たちは乗り越えなければならない いつの日にか
おお、こころ深く
私は信じる
私たちは乗り越えなければならない いつの日にか

私たちは手を取り合わねばならない
私たちは手を取り合わねばならない
私たちは手を取り合わねばならない いつの日にか
(コーラス)

私たちは恐れない
私たちは恐れない
私たちは恐れない 今日の日
(コーラス)

私たちは独りではない
私たちは独りではない
私たちは独りではない 今日の日
(コーラス)

この広い世界を廻る
この広い世界を廻る
この広い世界を廻る いつの日にか
(コーラス)

私たちは乗り越えなければならない
私たちは乗り越えなければならない
私たちは乗り越えなければならない いつの日にか
おお、こころ深く
私は信じる
私たちは乗り越えなければならない いつの日にか

「勝利を我らに」(We shall overcome)は賛美歌第二編164番を編曲して新しい歌詞を付けたもので、一種の替え歌です。
アメリカの赤狩りの時代にピート・シーガーが行ったワールド・ツアーで歌われ世界中に紹介されました。この歌を歌った最も有名なものはジョーン・バエズによるカバーで、1963年8月28日のワシントン大行進で歌われたことで公民権運動を象徴する歌となりました。邦題の「勝利を我らに」は賛美歌第二編164番の「勝利を望み勇みて進まん…」の歌詞や公民権運動を意識して付けられたのだと思います。確かに公民権法の成立はひとつの勝利であり、この法律によって公民権運動が完結したと思った人も多くいました。しかし法律の制定は人種差別を排除する法的な基盤ができただけで、その根底にあった人々や社会の偏見・差別意識を一掃するものではなく、本当の運動の出発点であったのです。ですから、この歌の題名は短絡的な運動の勝利ではなく、「We shall overcome」私たちは乗り越える(克服す)べきだ、というもっと深い意味での人々の意識・社会改革を成し遂げると強い意志を示したものでした。本来、あらゆる人間が平等であるべき真理を求める運動では、勝利も敗北もないのですから。
ワシントン大行進ではマーティン・ルーサー・キング・ジュニア(Martin Luther King, Jr.:1929–1968)の有名な「私には夢がある」(I Have a Dream)の演説がありました。この演説でキング牧師は「戦い」や「勝利」などといった言葉を使ってはいません。彼がガンジーから学んだ非暴力運動の精神は目の前にある成果に向けられたものではなく、真理、真実の実現という遥かに遠い理想を目指したものでした。しかし反面では、早期に形ある成果を勝ち取ろうとする人々から見れば、これは現実離れした理想論に思えました。そこに彼の思想が人々から支持を失う悲劇がありました。戦いで得た勝利は敗者の憎悪や復讐心を残します。そしてそれは世代の交代を待たなくては消えません。非暴力運動とは長く困難な道を選択することでもありました。
私は「We shall overcome」を聴くとき、「勝利」ではない理想を求めたマーティン・ルーサー・キング・ジュニアの崇高な精神に想いを馳せます。

ワシントン大行進のドキュメンタリー・フィルムを掲載します。

March on Washington for Jobs and Freedom 1963

続いてマーティン・ルーサー・キング・ジュニアの有名な「私には夢がある」の演説です。

キング牧師「私には夢がある」:August 28, 1963 – Martin Luther King Jr. – I Have a Dream Speech

1955 A Tribute to Rosa Parks
1955年12月、アラバマ州モンゴメリーにおけるジム・クロウ法(Jim Crow laws)違反でのローザ・パークス逮捕は公民権運動の端緒となり、モンゴメリー・バス・ボイコット運動からバーミングハム運動、ワシントン大行進へと発展しました。
たったひとりの女性の勇気ある行動から始まった運動です。

Joan Baez- We Shall Overcome (Woodstock 1969)
マーティン・ルーサー・キング・ジュニアやロバート・ケネディが暗殺者の凶弾に倒れた翌年1969年のウッドストック・フェスティバル(Woodstock Music and Art Festival)です。社会の価値観が人々の不信感によって崩壊する中で、アメリカは乗り越えなければならない多くの課題を抱えていました。

ジョーン・バエズ:Wikipedia
I Have a Dream:Wikipedia
マーティン・ルーサー・キング・ジュニア:Wikipedia
ローザ・パークス:Wikipedia

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