「十月」October: Ten Days That Shook the World (1917) – Sergei M. Eisenstein


ショスタコーヴィチ「十月」:Dmitri Shostakovich – Octubre Op. 131

ロシアの「十月革命」はユリウス暦の1917年10月25日(現在のグレゴリオ暦の11月7日)に左派勢力ボリシェヴィキの主導により決起されました。この革命によってロシアはソヴィエト共産主義の中央集権体制を確立してゆきました。共産主義社会は20世紀の壮大な実験でした。しかしカール・マルクスの理論が完璧であっても、不完全な人間という生き物には未だ成しえないものでした。(政治的な経緯などについてはWikipediaなどを参照してください。)

セルゲイ・エイゼンシュテイン(Sergei Mikhailovich Eisenstein:1898-1948)の 「十月」(Octubre)は革命十周年を記念して1931年に製作されたものです。セミ・ドキュメンタリーとして記録された国家プロジェクト、プロパガンダとして革命政府の正当性を訴える映画ですので、革命当時の政治的状況は多分に簡略化され、美化されています。そしてこれがソヴィエト崩壊後において、その映画としての評価を下げることにもなりました。しかし当時のソヴィエトの国家体制の下で映画を製作する制約の大きさを考慮するならば、ロシアにおける映画芸術を存続し、発展させた功績は過小評価すべきではありません。当時のソヴィエト映画は歴史を正確に記録したドキュメンタリーとして捉えるのではなく、歴史を再構成したフィクション映画として捉えるべきです。それを念頭に置いておけば、この映画のコラージュ手法による斬新なカット割や、緊張感と躍動感あるリアリズムの演出から、今日でも傑出した作品であることに間違いありません。
映画の最初にあたる7月の蜂起における橋のシーンは、「戦艦ポチョムキン」のオデッタの階段シーンと同じくらい有名なもので、後のハリウッド映画などでもよく真似られています。

ロシアの天才作曲家ドミートリイ・ショスタコーヴィチ(Dmitrii Dmitrievich Shostakovich:1906-1975)の「十月革命」作品131は、1967年に十月革命50周年を記念して作られた交響詩です。
ショスタコーヴィチも体制に協力、迎合した人物として、その音楽よりも生き方が問われることが多いようです。これは彼の才能を自由に発揮できる環境になかった不幸と言えます。もし彼が今のロシアやアメリカなどに生まれていたなら、その名声は今の比ではなかったと思います。


「全線」The General Line (1929)

「全線」はコルホーズの組織に参加する、農村における革命賛歌というべきプロパガンダ映画です。この映画でもセルゲイ・エイゼンシュテインのカッティングやクローズ・アップの多様など「イワン雷帝」などでも見られる天才的な演出が見られます。

セルゲイ・エイゼンシュテインの映画は、映画の専門家でなくても、素人のホームビデオ作りにも参考になります。もちろん映画を志す人にとっては必見です。


Eisenstein
今日のおまけ:先日紹介したケイト・ブッシュの新作アルバムの広告写真はエイゼンシュテインの写真のパロディです。

セルゲイ・エイゼンシュテイン:Wikipedia
十月革命:Wikipedia
十月革命 (ショスタコーヴィチ):Wikipedia

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