ミレイユ・マチュー(Mireille Mathieu:1946-)が歌った「ラ・パロマ」です。ミレイユ・マチューはエディット・ピアフの「愛の賛歌」を歌って衝撃的なデビューを果たしたフランスの歌手で、「ピアフの再来」と言われました。しかしミレイユ・マチューはミレイユ・マチュー。誰と比較されることはない偉大な歌手です。ミレイユ・マチューなら「愛の信条」や「砂の城」などと言う人もいると思いますが、今日は「ラ・パロマ」です。

ミレイユ・マチュー:Mireille Mathieu – La Paloma ade 1973

「ラ・パロマ」(ドイツ語歌詞)

Wenn rot wie Rubin die Sonne im Meer versinkt
ein Lied aus vergangener Zeit in den Herzen klingt.
Das Lied, es erzählt von einem, der ging an Bord
und da sagte er zur Liebsten ein Abschiedswort:

Weine nicht, wenn ich einmal nicht wiederkehr!
Such einen andern dir, nimm es nicht so schwer!
Und eine weiße Taube fliegt dann zu dir
bringt einen letzten Gruß übers Meer von mir.

La Paloma ade!
Wie die wogende See
so ist das Leben ein Kommen und Gehn
doch wer kann es je verstehn?

La Paloma ade!
Wie die wogende See
so ist das Leben ein Kommen und Gehn
doch wer kann es je verstehn?

(意訳)

ルビーのような赤い太陽が海へと沈むとき
過ぎ去った日々からひとつ歌が心に響く
その歌は航海に出て行った男の話
そして彼の最愛の者に告げた別れの言葉

泣かないで!私が戻らなくても
あなたのために他の誰かを見つけて、そんなに気にしないで!
そして白い鳩があなたに飛んで行って
そして海を渡って私からの最後のメッセージを届けたら

ラパロマ(鳩よ)さようなら!
押し寄せる海のように
人生はやって来ては去ってしまうもの
けれども誰がそれを知り得ただろう?

ラパロマ(鳩よ)さようなら!
押し寄せる海のように
人生はやって来ては去ってしまうもの
けれども誰がそれを知り得ただろう?

「ラ・パロマ」(La Paloma=スペイン語で鳩のこと)はスペインの作曲家セバスティアン・イラディエル(Sebastián Yradier:1809-1865)の歌で、長くキューバに滞在した際に現地のハバネラを収集し、これを元に作曲したものです。この歌は特に中南米のスペイン語圏で人気を得て、今では民俗音楽のように言われています。

歌の内容は、一番下のトリオ・ロス・パンチョスが歌った歌詞を見ていただくと分りますが、「ハバナの港から出航する際に、誰も見送りに来なかったけれど、美しい娘が送ってくれた。娘さん僕のことを愛して。一羽の鳩が飛んでいったら僕のことを思い出して。でも、そうなのかな、ちがうのかな。」といった明るい恋の歌です。中南米のスペイン語圏では、「ククルクク・パロマ」の歌もそうですが、鳩を人の分身と思うことがあるようです。これがヨーロッパに広まるとともに、歌詞が変わってきました。ドイツでは戦前にハンス・アルバース(Hans Albers:1891–1960)が主演した映画「Große Freiheit Nr. 7」(Great Freedom No. 7)の挿入曲として歌われました。この歌詞では、船乗りが死ぬときに家族などを想う気持ちを歌っています。
ところで、ハンス・アルバースは戦前のドイツで最も有名だった俳優・歌手で、「Münchhausen:1942」(ほら男爵の冒険」などは今でも親しまれています。その彼が出演した「Große Freiheit Nr. 7」は、イギリスでは「Port of Freedom」として知られているもので、ひとりの歌う船員がクラブで働く娘と恋に落ちる映画です。題名も日本語に訳せば「大いなる自由 No. 7」、ナチスドイツが禁止したハンス・アルバースの過去の歌などを使用して、当然のことですが戦前ドイツのプロパガンダに反していることから、上映禁止処分となりました。幸いフィルムが保存されていたことから終戦後に発見され、敗戦間近のナチスドイツ政権下で「自由」を描いた映画として高く評価されました。そしてこれがきっかけとなり、この映画で歌われた「ラ・パロマ」は戦後のドイツ、ヨーロッパで広く親しまれることになりました。ミレイユ・マチューがカバーしたのはドイツ語歌詞を要約・整理したもので、曲想が明確になりました。この歌がヒットしたのは特にミレイユ・マチューの歌唱力もあってのことですが、戦前にも自由を求めながら遠い地や海で戦死した親族や恋人への想いなど、過去の不幸な時代への回顧も重なっていたのだと思います。ここに来て「ラ・パロマ」(鳩)は自由の象徴としての意味と、愛する人を想う魂の歌として、原曲よりも深い意味を持った歌になったと思います。

Ein Wind weht von Süd
und zieht mich hinaus auf See!
Mein Kind, sei nicht traurig,
tut auch der Abschied weh.
Mein Herz geht an Bord
und fort muß die Reise gehn.
Dein Schmerz wird vergehn
und schön wird das Wiedersehn!
Mich trägt die Sehnsucht
fort in die blaue Ferne.
Unter mir Meer
und über mir Nacht und Sterne.
Vor mir die Welt,
so treibt mich der Wind des Lebens,
wein’ nicht, mein Kind,
die Tränen, sie sind vergebens.

La Paloma ohe –

Nur Erinn’rung an Stunden der Liebe
bleibt noch an Land zurück.
Meine Braut ist die See,
und nur ihr kann ich treu sein.
Wenn der Sturmwind sein Lied singt,
dann winkt mir der Großen Freiheit
Glück!

Wie blau ist das Meer,
wie groß kann der Himmel sein!
Ich schau’ hoch vom Mastkorb
weit in die Welt hinein.
Nach vorn geht mein Blick,
zurück darf kein Seemann schau’n.
Cap Horn liegt auf Lee,
jetzt heißt es auf Gott vertrau’n.
Seemann, gib acht!
Denn strahlt auch als Gruß des Friedens,
hell in die Nacht
das leuchtende Kreuz des Südens,
schroff ist das Riff
und schnell geht ein Schiff zugrunde.
Früh oder spät
schlägt jedem von uns die Stunde.

La Paloma ohe –
einmal wird es vorbei sein!
Einmal holt uns die See,
und das Meer gibt keinen von uns
zurück.
Seemannsbraut ist die See,
und nur ihr kann er treu sein.
Wenn der Sturmwind sein Lied singt,
dann winkt mir der Großen Freiheit
Glück!

Auf Matrosen ohe! La Paloma ade!


“La Paloma” – 4 variations (Elvis Presley + 3)
1) La Paloma – Trio Los Panchos, traditional Spanish vocal. Successful Latin American recording artists in the mid 20th C, they backed Eydie Gorme on two Spanish albums.
2) La Paloma – Billy Vaughn orchestra, 1958 #20 pop instrumental, adapted to the rock+roll era.
3) The Look – Dean Martin. Original words by Bob Russell. A 1956 nonhit single, and on his LP “This Is Dean Martin”.
4) No More – Elvis Presley in a great adaptation by Don Robertson and Hal Blair for the 1961 movie Blue Hawaii.

トリオ・ロス・パンチョスの「ラ・パロマ」の歌詞は次の通り。素朴でラテン的な歌詞です。

La Paloma – Trio Los Panchos

Cuando salí de la Havana
¡Valgame Dios!
Nadie me ha visto salir si no fui yo.
Una linda guachinanga
¡Valgame Dios!
Que se vino tras de mi
Que sí, señor

Si a tu ventana Ilega una paloma
Trátala con cariño que es mi persona
Cuéntale tus amores, bien de mi vida
Corónala de flores que es cosa mía

Ay! chinita que sí
Ay! que da me tu amor
Ay! que ven tu conmigo chinita
A donde vivo yo

Si a tu ventana Ilega una paloma
Trátala con cariño que es mi persona
Cuéntale tus amores, bien de mi vida
Corónala de flores que es cosa mía

Ay! chinita que sí
Ay! que da me tu amor
Ay! que vente conmigo chinita
A donde vivo yo

Que sí, que sí, que no, que no,
Cuando ella quiere no quiero yo
Que sí, que sí, que no, que no,
Cuando ella quiere no quiero yo

(意訳)

ハバナ港を去るとき
なんてこと!
去るのに誰も来なかった
ひとりの可愛い娘が
なんてこと!
後からやってきた
そうなんだ

窓辺へ一羽の鳩が来たなら
大切にして、それは僕だから
愛を語ってよ、人生の人
僕だと思って花の冠で飾って

アィ!娘さん
アィ!君の愛をおくれ
アィ!いっしょに行こう
生きてゆくところへ

窓辺へ一羽の鳩が来たなら
大切にして、それは僕だから
愛を語ってよ、人生の人
僕だと思って花の冠で飾って

アィ!娘さん
アィ!君の愛をおくれ
アィ!いっしょに行こう
生きてゆくところへ

そうだ、そうだ、違う、違う
彼女が愛するのは、ボクじゃない
そうだ、そうだ、違う、違う
彼女が愛するのは、ボクじゃない

ミレイユ・マチュー:Wikipedia
La Paloma:Wikipedia

One thought on “ラ・パロマ [歌詞と和訳] ミレイユ・マチュー:Mireille Mathieu – La Paloma ade”

  1. ロス・アンジェルスからこんにちは。
    フランスの田舎の写真を動画にし、YouTubeに載せたので、私のブログに紹介しました。
    それを見た読者の一人が、この歌を基にして作ったドイツのドキメンタリー・フィルムを紹介してくれました。
    見がいのあるフィルムで、世界中の人々から愛され、親しまれているこの歌の歴史や話が紹介されていました。

    ブログの記事内では字数制限があって書ききれなかったので、コメント欄にいくつかその映画の紹介を書き入れました。
    私が60年近くも前に、高校の音楽の教科書に出ていた日本語の歌詞はないかと探していたところ、こちらのブログにたどり着きました。

    You Tube『愛の挨拶』、『ワルツ』、『ラ・パロマ』をBGMに景色をお楽しみください。
    というブログの題のところに、ドイツのドキメンタリーフィルムについてのコメント、およびサイトを載せています。
    お時間がございます時に、ご笑覧ください。

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